職場やコミュニティーで出来ること

 発達支援コーチを事業所に取り入れる事で、まず職場で子どもを見る時の共通言語や、共通理解ができるようになり、みんなが、同じ方向を見るようになりました。
 こどものできないことを見るのではなく、 可能性を広げる工夫をする。頑張っていることを共に喜ぶことができる。あそびや動きには意味があり、必要性があることを知ることが、保護者さんに伝える時・子育て支援をする際の説得力にもなっています。

 発達支援コーチには子どもたちを「支援する」だけではなく、「理解する」ためのヒントが沢山詰まっています。私たちは「何かができるようになる」ことではなく、自分がやりたいことを、叶えるための土台作りを「遊び」を通じて子どもたちと一緒に楽しみます。
 発達支援コーチは、体だけでなく、心の土台も育てていきます。これは年齢や支援の内容を問わず、すべての子どもにも当てはまります。

 また、単なるサービス提供者とサービス受給者という関係性の中だけで活きるのではなく、自分自身を知ること、スタッフ間を理解することにもつながります。

事例

 発達支援コーチを事業所に取り入れた結果、比較的重度の障がいをもつお子様にも以下のような変化がみられたという声が届いています。
(個人の感想であり、効果を保証するものではありません。)

 これらは私たちが行ったことで良い効果として現れた訳ではありません。私たちがお伝えしたことをヒントに保護者さんや、子供たちの周りの方が実践して下さった結果です。

陥りやすい押し売りの支援

 なんらかのスペシャルケアが必要なお子様は、 感覚の過敏・鈍麻傾向にあり、それを他者にわかってもらえないことが多くあります。多くの支援者が陥るのは、「これが正解」という方法を探すこと。
 正解は、こども達の中にあるのです。私たち支援者は、刺激を押し売りしている時があることに気づく必要があります。

 身体的にスペシャルケアが必要なお子様は、他者に触られることが多いのですが、支援者はその子の「心地よい・気持ちが良い」触り方をしているでしょうか?
 「楽しい」と「心地よい・気持ちが良い」では、感覚が違います。当然、働く筋肉も違います。 筋肉はゆるむと、動き出そうとするのです。
 支援者がケアを行うにあたってのヒントをお伝えする際に、どうしてそうなるのかを知って頂くことでお子様への理解が深まり、結果的にお子様にとって良い関わり方が生まれます。

 発達支援コーチのエクササイズは、副作用が無いので、安心して活用できますが、時としてうまくいかないと感じることがあるかもしれません。
 そのような時はその子の「今」欲しい刺激では無かった、ただそれだけなのだと考えることでお子様も支援者も無理して頑張るような取り組みを手放すことが出来ます。

 もしあなたやあなたの事業所で取り組まれていることがうまくいっていないと感じた時は、発達支援コーチの考え方を実践してみることをお勧めします!

認定発達支援コーチの声

お名前 姜賢玉(かんひょの)さん
職 種 医師(内科)
勤務先 やちよクリニック 内科医師、
    ひさゆき耳鼻咽喉科アレルギー科 理事

発達支援コーチをどのように活かしていますか

 息子の通っている小学校の担任の先生が、子供達の起立、着席の姿勢が悪いことを悩んでおられました。発達支援の感覚統合の話をしたところ興味をもってくださりゲストティーチャーに招いてくださいました。
 1学年160人に対して一斉指導を行いましたが、子供達の様々な発達段階が観察できました。普段の体育で行っている動きや活動も、生徒それぞれの問題点に合わせた内容を目的意識をもって取り組むことで、より確実な運動発達が望めます。

 今回は生徒へのアプローチでしたが、今後は是非先生方に発達支援を知って頂きたいと思っています。教育現場の先生方が発達支援を理解することで、毎日子供たちと必要な統合遊びを行えますし、それによって学習効果が上がり、結果的に先生方の負担が軽くなると考えるからです。
 また、将来的には、発達障害の方やその傾向のある方々に対して、長期的な目的とビジョンを持って、そのために必要なステップと療法を提案していきたいと思います。

同じ職種の方に一言お願いします。

 医師が投薬以外の治療・訓練・サポートを理解し、それぞれの患者さんに必要な治療、訓練へ導くことができれば患者さん、その保護者が路頭に迷うことなく療育がすすむと期待できます。
 例えば、診断する医療機関を中心として、放射状にそれぞれの療育機関、教育現場、家庭が広がり、患者さんのニーズに合わせて必要な療育機関を紹介するシステムが出来るといいなという感じです。
 そして医療機関はそれぞれの機関と連携し患者さんの状況を把握し、定期的にアプローチを再評価するとよいのではと考えます。